セルフねんねできるようになったら考えよう!安定して夜通し寝る習慣を身につけるには?

このコラムはねんねのプロ、中山ゆうこ/ねんね相談室Sleep Babyが書いています。

5年ほど前に比べて、最近では「うちの子セルフねんねしています」というママも増えてきています。


セルフねんねとは?
赤ちゃんが寝室のベビーベッドや布団で一人でゴロンとしながら、誰のサポートもなく自分のタイミングで寝ていくこと

こうした中、増えているお悩みとしては、「セルフねんねしなくなりました!」という声。

寝られなくなる理由は月齢などによって様々ですが、今回は、「安定して夜通し寝る習慣」を継続していくのに参考になる2017年に行われた研究についてとねんねが乱れた時の対応のポイントをお伝えします!

生後9ヶ月までに一人部屋で寝ている赤ちゃんは、睡眠時間が45分長い

2017年の研究で、子どもが親と同じ部屋で眠ることが睡眠の妨げになるのか、といった検討がなされました。

結果は、生後4ヶ月では親子同室でも別室でも、赤ちゃんの合計睡眠時間は変わりませんでしたが、別室の方が睡眠の「継続時間」は長くなりました。

さらに、9ヶ月では一人部屋で寝ている子の方が睡眠時間は長くなった、という結果でした。

効果は、生後4ヶ月までに一人部屋で寝るようになった子が一番大きかった(長く寝ていた)のですが、4ヶ月から9ヶ月までの間に一人部屋で寝るようになった子でも、効果はありました。

着目したいのは、その後、子どもが2歳半になってもその差が出ていて、生後9ヶ月までに一人部屋で寝ていた子は同時期に親子同室だった子よりも夜間の睡眠時間が45分長かったということ。

つまり、一人部屋の方が静かな睡眠環境ということもあり、子どもにとっても眠りを妨げられないということがわかりました。

親子同室は、少なくとも生後6ヶ月まで続けましょう

米国小児科学会(AAP)は、これまで、親子同室を「1歳まで」推奨していましたが(少なくとも生後6ヶ月まで、の文言はこの時から同様)、2022年にその内容を以下のとおり一部改訂しています。

「1歳まで」の文言を削除し、「少なくとも生後6ヶ月まで」推奨する

生後2〜4ヶ月はSIDS(乳幼児突然死症候群)が発症するピークの時期と考えられているため、生後6ヶ月未満での親子別室は、赤ちゃんの睡眠環境や睡眠への見守りに十分に警戒すべき時期であることも同様に知っておきたいデータです。

したがって、一人部屋に寝かせるようにするおすすめの時期としては

生後6ヶ月〜9ヶ月の間

心の成長となる分離不安や1歳ごろの自我が芽生えて主張するようになる前に寝室を分けてしまうと、その後、睡眠トラブルが出にくい(出ないわけではありません)メリットもあると考えられます。


分離不安とは
知能や感情が成長することで起こる“不安”によって、赤ちゃんがママから離れたがらなくなることです。いわゆる「後追い」とも言われます。赤ちゃんの正常な発達過程で、生後8ヶ月〜2歳ごろまで続き、1歳半ごろにピークを迎えるといわれています。


自我の芽生えとは
1歳前後から自分で歩くようになり、身の回りの世界を広げていくようになる時期に、家族やまわりの人とかかわることで、「自我」に目覚めていきます。自我を形成しはじめた子の特徴としては「これがいい」「これがやりたい」「これはイヤ」などハッキリ主張するようになります。

親子同室や添い寝はダメ?

ここで勘違いしてほしくないことは、「親子同室」や「安全に配慮した添い寝」は子どもの睡眠時間を奪うのでダメなのでは?

という不安を持つことです。

上記2017年の研究は、「入眠時の癖」の有無が明確に分からないため、
別室で寝る赤ちゃん=セルフねんね=入眠時の癖はない
同室で寝る赤ちゃん=入眠方法は【不明】

だというポイントです。


入眠時の癖とは
赤ちゃんが入眠する際に、抱っこや添い乳、バランスボールで揺れる、手を握る、ママにくっつく、ママが同室に居る、など親のサポートがないと寝られないことです。一般的に入眠の癖がある方が「睡眠の質は落ちやすい」と考えられます。

同室で寝ている赤ちゃんに入眠時の癖がある場合には、別室で寝ている(入眠時の癖がない)赤ちゃんよりも中途覚醒が増えてしまうことは容易に想像がつくため、一概に、部屋を分けない=睡眠が短くなった、という結論にはならない可能性があるからです。

同室で寝ていても、添い寝していても、睡眠の質を高める工夫はたくさんあります。

赤ちゃん自身が自分で寝付く力を持っていて、寝ることを前向きに捉えられているかなど、「寝る力」のあるお子さんに関しては、この研究データの限りではないと私は思っています。

また、日本では、欧米と生活様式や文化が異なるため、住宅事情や家庭の方針として、親子同室や添い寝を希望(一人で寝られる年齢になってから別々にする)するご家庭も多いと思います。

ですから、「9ヶ月までに寝室を分けないと睡眠時間が短くなる」とお伝えしているものではない!ということをご理解ください。

しかしながら、ママの体調やご家庭の方針として、子ども部屋に早くから一人で寝てほしいと考えるご家庭もあります。そういったご家庭には、この研究結果が励みになるのでは、と期待します。

ゆうこ

同室寝から子ども部屋に移行されたい方がいましたら、是非ご相談くださいね!事前にしっかり対策・準備した上で進めていけば、必ず成功しますよ!

セルフねんねが乱れた時の対応のポイント

それでは、セルフねんねしなくなってしまった時にはどうしたら良いのでしょうか?

まず、はじめに念頭に置いていただきたいのは、赤ちゃんは日々、目まぐるしく成長しているということ。
成長過程で睡眠が乱れることはよくあることで、「成長の証」とも言えます。

では、そんな時にセルフねんねを継続していきたい場合、どのように対応していけば良いのでしょうか?

睡眠が乱れる時期の目安

成長過程によって訪れる睡眠が乱れる時期を、海外では「Baby sleep regression(睡眠退行)」といわれています。

日本語直訳はとても印象が悪いので、ここでは「急成長期」とお伝えしていきますね!

赤ちゃんの急成長期に睡眠が乱れることはよくあることです。時期の目安としては、

4ヶ月 | 8ヶ月 | 11ヶ月〜12ヶ月 | 1歳半 | 2歳

のあたり、といわれています(絶対に起こるものではありません)。

セルフねんねしている赤ちゃんでも、
*突然、寝入りに泣くようになり寝られなくなる
*短い時間で起きるようになる
*寝起きの機嫌が悪くなる
*夜泣きする
*寝室やベッドにいくことを嫌がる

などといったことが起こります。

期間としては数日から1〜2週間程度ですが、この時期になんとか寝かせようと「入眠時の癖」を作ってしまうと、急成長期が終わった後でも再度セルフねんねすることを嫌がることもあるため、セルフねんねを継続していきたい場合には対応の仕方に注意が必要です。

ねんねの乱・対応のポイント①:寝かしつけ方は変えない

泣くからといって、抱っこや添い寝をしているとその寝方じゃないと泣いて嫌がるようになります。

寝かせようとしても嫌がっている場合には、焦らずに抱っこするなどあやしてみて落ち着かせてあげましょう。

落ち着いたら、手短かにねんねルーティンをしてみたり、ねんねだよと言葉で伝えて再度、おやすみをしてみましょう。

それでも落ち着かない時は、何度か繰り返しが必要な時もあります。赤ちゃんに「ゴロンして寝てね」とママの思いを優しく伝えていくことが大切です。

すぐに抱っこやおしゃぶりを与えて、大人しくさせていると「入眠時の癖」が強まっていくので、赤ちゃんの寝る力を信じて自分を落ち着かせる時間をあげることが大切です。

ねんねの乱・対応のポイント②:睡眠環境の見直し

四季のある日本では、夏と冬の睡眠環境は極端に異なり、梅雨の湿気や急に暑くなったり寒くなったりすることもあります。

服装を含めて睡眠環境を調整していくことは、睡眠コンサルタントの私でも娘の寝室を調整している中で、結構難しいなと感じています。

また、今までできなかったことが急にできるようになったりするなど、発達に合わせた調整もでてくるため、見守っていられる安全な睡眠環境を見直していく必要も出てきます。

服装は適切か、エアコンの設定温度はちょうどいいか、日の出の時間が早くなって明るくないか、つかまり立ちしても安全か、など、適宜、睡眠環境を見直していきましょう。

ねんねの乱・対応のポイント③:日中の活動の見直し

セルフねんねをしている赤ちゃんに多い事例としては、「ママが寝ることを重視しすぎていて、日中の活動が十分でない」ということがあります。

体力のある赤ちゃんに関しては、日中の活動が足りていないと、しっかりと寝られる体もつくられません。

お座りが上手になってきたら、短い時間でもいいので外でお座りして遊ぶ時間を作って、ご機嫌に遊べているならお昼寝の時間がいつもと多少ずれても「しっかりと起こして遊ぶ時間」も意識していきましょう。

一方で、はいはいし出したり歩き出しで体力消費しすぎてハイテンションになっている場合には、「疲れすぎて寝られない」可能性も出てきます。

赤ちゃんの眠たいタイミングをよく観察して、お昼寝のタイミングや回数、時間を調整してみましょう。

ねんねの乱・対応のポイント④:心を満たす「納得」を探せ

好奇心旺盛な赤ちゃんは、五感が発達したり、体が自由に動くようになってくると「周りの世界が楽しくて寝られない!」というケースも出てきます。

遊ぶのが楽しくて寝られない赤ちゃんに対しては、寝る前の手順をルーティン化した「ねんねルーティン」を導入し、成長に合わせて適宜、見直していくことが大切です。

子どもが「納得」してリラックスする時間を過ごせるねんねルーティンをしてからおやすみしていきましょう。

ねんねルーティン例
<抱っこで子守唄→寝床へ移動→スワドルやスリーパーを着せる→おやすみの挨拶→消灯→退室>

(他、お風呂、絵本を読む、歯磨きなどなど)

生後3ヶ月ごろには、ママにそばにいて欲しい、ママに抱っこして欲しいなどの欲求は芽生えています。寝る前に、ママパパとの関わりをしっかりととって、安心してリラックスして寝られるように促してあげましょう。

言葉の理解が進んだり、自我が芽生える幼児期(1歳ごろから)になってくると寝る直前だけでなく、日中の欲求不満や不安が寝入りの抵抗を大きくします。

本人の気持ちを受け止めつつ、言葉が話せない月齢でも丁寧に言葉で予告・説明したり、本人が指差しなどで選択できるようになったら選ばせたりしてお互いに「納得」できるポイントを探していきましょう!

まとめ

セルフねんねをしている赤ちゃんも、成長や体調不良などでセルフねんねが崩れることはよくあることです。

最新の研究によると安定して夜通し寝る習慣を身につけるには生後6ヶ月から9ヶ月の間に母子別室で寝ることも効果的だということが分かっています。

ねんねの乱・対応の秘訣も参考にしていただきながら、家族みんなが幸せに、ぐっすりと寝られるヒントになれば幸いです。


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この記事を書いた人:中山ゆうこ/ねんね相談室SleepBaby

東京都板橋区出身、世田谷区在住/一児の母
・私立Findlay大学院MBA取得
・元地方民放局アナウンサーとして勤務
・現在、フリーアナウンサー
・NYブルックリン子育てサロンの運営メンバー
・教育コンサルタントから非認知能力の育て方等学ぶ
・ゆるバイリンガル育児実践中
・月40冊以上図書活し、我が子に毎日絵本の読み聞かせ継続中

資料:

エミリー・オスター「米国最強経済学者にして2児の母が読み解く子どもの育て方ベスト」サンマーク出版

Mother-Infant Room-Sharing and Sleep Outcomes in the INSIGHT Study
https://publications.aap.org/pediatrics/article-abstract/140/1/e20170122/37986/Mother-Infant-Room-Sharing-and-Sleep-Outcomes-in?redirectedFrom=fulltext

Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2022 Recommendations for Reducing Infant Deaths in the Sleep Environment
https://publications.aap.org/pediatrics/article/150/1/e2022057990/188304/Sleep-Related-Infant-Deaths-Updated-2022