これだけでぐっすり!?「赤ちゃんの快眠環境」 | ネントレ前に見落としがちなこと

前のコラムでネントレ(ねんねトレーニング)の前に「環境を整えること」が大事と言いましたが、実はこれだけでかなり変わってきます。

中には環境を整えるだけで夜泣きが減った、夜通し寝るようになった、寝かしつけが楽になったなんてこともあるので、しっかりと赤ちゃんの快眠環境を整えてあげましょう。

真っ暗な部屋

赤ちゃんがどこにいるかわかるようじゃまだ明るい

光に敏感な赤ちゃんは多いので、部屋を真っ暗にするだけで夜泣きが減り、夜通し寝るようになる子が多いです。

どのくらい真っ暗かというと、目が慣れてきてもまだ周りが見えないほどの真っ暗。大人の私たちが暗闇にいると段々と目が慣れてきて家具の位置だったり、隣に寝ている人が少し見られるようになると思いますが、それではまだ真っ暗ではありません。

本当の真っ暗を目指しましょう。

意外と厄介な光漏れ

多くの方は寝室には遮光カーテンを使っていると思いますが、朝になるとカーテンの隙間から日光が入ってきてませんか?

カーテンレール上部、カーテンとカーテンの隙間、床や窓枠との隙間。
夜の暗いうちは気にならないけど、朝方明るくなってくるとカーテンの隙間から「外が明るくなってきた」とわかる場合には対策が必要です。

朝の光漏れは赤ちゃんの早朝起きの原因にもなります。
特に東側に窓のある部屋では朝になると強烈な光が差し込むため、遮光等級1級でもカーテンだけでは対処できない場合があります。

カーテンの隙間からの光漏れには注意が必要です

遮光グッズをうまく利用しよう

そんなときは窓に直接遮光フィルムを貼ったりすることも有効です。

毎晩対策をしなければいけない事なので、できる限り楽にしたい作業ですよね。毎回クッションや布をかぶせたりして隙間を埋めるのは大変です。

最近では便利なグッズがたくさんありますし、ねんねのプロがアイデアを凝らした対策を考案しているのでぜひ相談して参考にしてみてください。

夜間授乳のための照明は間接照明を使おう

ナイトライトは夜間授乳に最適

また夜間授乳やおむつ替えのために豆電球(常夜灯)を付けるのも赤ちゃんにとっては明るすぎる場合があります。

夜間授乳やおむつ替えをするときに明かりが必要な場合は、床におけるタイプのナイトライトなど間接照明を活用してみてください

大人もそうですが、上から照らすランプは直接目に入るので夜の暗さに慣れた目では思いのほかまぶしく感じます。その点ナイトライトは床や壁を照らした形の間接照明になるので、まぶしさは軽減され再び睡眠に入りやすくなります。

ただし、赤ちゃんの寝ている場所が、床に近い場合は注意が必要なのでそのような場合の対処はねんねのプロに相談しましょう。

夜間授乳の際の照明の明るさは抑えめに

家電のランプにも注意が必要

さらに家電等のランプ。他は完璧に遮光していたのに寝かしつけに苦労している方はチェックしてみてください。

後で説明しますが、赤ちゃんの快眠のための部屋の温度はエアコンなどで調整する必要があります。
この家電の電源ランプが気になってしまい眠れないという赤ちゃんもいます。

最新の家電はナイトモードがあり電源ランプを暗くしたりする機能が付いているものもありますが、ない場合はマスキングテープやガムテープなどで隠すのも有効です。
この時リモコンの受信部、あるいはセンサー部分を隠さないように気を付けてください。

スマホはなるべく控えましょう

そして最後にスマホは要注意です。

スマホの画面は想像以上に明るいですし、ブルーライトの影響でメラトニンの分泌が抑制され覚醒しやすくなります*1。寝る前からなるべく使わないようにし、睡眠中も通知等で光ったりしない「おやすみモード」に設定するといいでしょう。

ホワイトノイズのためにYoutubeやアプリをずっと起動している場合などは画面が隠れるように置いたり工夫が必要です。

快眠のための室温

ママ・パパが寒いくらいがちょうどいい

皆さんは赤ちゃんにとって快眠のための室温がどのくらいかご存知でしょうか?

アメリカ国立睡眠財団が指針を出していますがそれは20℃前後の大人が寒いと思う室温です*2

それだと「赤ちゃんが風邪をひきそう(というか大人が風邪ひく)」と思うかもしれませんが、赤ちゃんのうちは自分で体温調節する機能がまだ十分に発達していないので、熱がこもって体温が上昇してしまうのを防ぐのも大切です。

室温はエアコンと服装で調整しよう

でもさすがに20℃では一緒に寝ている大人は耐えられないと思いますのでエアコンの設定温度は、夏ならば23-25℃、冬ならば18-20℃くらいで調整するといいでしょう
実際には住環境、お住いの地域によって設定は変えてみてください。

残りは服装で調節してあげましょう。

赤ちゃんが頭や首に汗をかいていたらそれは暑いサイン。

厚着はさせずに、肌着+一枚くらいでも大丈夫ですので、季節や成長に合わせて着るものを調整してあげてください。ちなみに手足先が冷たくなっていも胸や背中に手を入れて暖かく感じるなら、赤ちゃんにとって快適だと思って良いです。

掛け布団はNGです

また湿度も気を付けてあげるとなお良し。夏の時期は除湿器を使ったり、冬では加湿器を使って40‐60%に保ってあげましょう。

ちなみに掛け布団は必要ありません。これは赤ちゃんの死亡事故を防ぐために必要なことですので、詳しくは「4.安全な寝床をつくる」を読んでください。

赤ちゃんの寝る定位置を決める

寝る場所は固定して赤ちゃんに覚えてもらう

赤ちゃんの寝る場所を決めてあげましょう。

今日はこっちでママ・パパと添い寝、明日はベビーベッドで1人寝というように場所を変えると赤ちゃんもどこが自分の寝る場所かわからず混乱します。

大事なのは一貫性

いつも寝る場所が安全な寝床だと認識する

赤ちゃんが寝やすいと思うのは安心感がある寝床です。 この安心感は「習慣」によって徐々に覚えていくのですが、 毎回違う寝床で寝る場合、毎回赤ちゃんはここが安全なのかどうかわからず、新しい環境で緊張してなかなか寝付いてくれません*3

また毎回抱っこで寝ている子はママの腕の中=寝る場所(体勢)と認識してしまい、それ以外の場所で寝にくくなります。

やっぱりベビーベッドが安心

日本の研究で夜泣きと寝床に関するものが発表されています。

それによれば夜泣きしない赤ちゃん(生後3~6ヵ月)のうちベビーベッドで寝ていたのは41.6%だったのに対して、夜泣きをする赤ちゃんのうちベビーベッドで寝ていたのは18.8%でした*4

なぜべビーベッドの方が夜泣きが少なかったかの直接的な原因は解明されていませんが、次の項で出てくる安全な寝床をつくる上でもベビーベッドは最適です

なお、大人用のベッドで寝かせることは危険を伴います。

危険な理由は、大人用のベッドは高さがあるので万が一転落すると、赤ちゃんの場合死亡事故になる事があります。また転落を防ぐ理由でベッドガードを設置することもありますが、ベッドガードとベッドの間に挟まって死亡してしまった例もありますので取り扱いには十分に注意してください。

安全な寝床をつくる

安全な寝床はシンプルでインスタ映えとは逆と覚えよう

端的に安全な寝床ってどんなものかを説明すると、インスタ映えしないすごくシンプルな寝床です。

SNSやネットにはキラキラした可愛いベビーベッド写真があふれていますが、その真逆こそが赤ちゃんのためには安全な寝床になります。

何も置かないベビーベッドはSNS映えしませんがこれが正解

乳幼児突然死症候群(SIDS)を聞いた事があるでしょうか?

死亡の原因は厳密にはわからないとされていますが、大人が気を付けることで防げる事例もあります。日本では厚生労働省がSIDSの発生率を下げる3つのポイントを挙げていますが、アメリカの小児学会はそれに加えて赤ちゃんにとって安全な環境がどのようなものか細かいガイドラインを提示しており、産婦人科や小児科で積極的な啓蒙活動をおこなっています*5

どんなに寝かしつけや夜泣きに苦労しなくなっても安全でなければ安心して子育てできませんよね?ぜひチェックしてください。

厚生労働省 11月「乳幼児突然死症候群(SIDS)」対策強化月間資料

掛け布団を置かない

赤ちゃんが寒くないように掛け布団を掛けてあげるかたも多いと思いますが、おすすめ出来ません。

新生児の時期やまだ寝返り返りが出来ないなど、自分の体をうまくコントロールできない赤ちゃんにとって、掛け布団は顔に覆いかぶさったり、首に絡まったりすると取れないものなので最悪の場合窒息につながります。

掛け布団によって暑すぎて寝つきが悪くなることもあるので、掛け布団は使わないようにしましょう。
おくるみやスリーパーで代用できます。

枕は使わない

枕も同じです。

思いがけず動いたり寝返りをした際に口や鼻がふさがってしまったらこちらも窒息の恐れがあります。寝返り防止用のクッションやベッドバンパーなども同様の理由で置かないようにしましょう。

ぬいぐるみも置かない

ぬいぐるみと一緒に寝る赤ちゃんは可愛いですよね。ついつい赤ちゃんの寝床は可愛く装飾してあげたくなりますが、これもNGです。

理由は掛け布団や枕と同じで窒息の危険性が上がります。

また近くにぬいぐるみがあると赤ちゃんも気になってしまうので、赤ちゃんの寝床は出来る限りシンプルで、あえてつまらない環境にしてあげましょう。

安全とは別の観点ですが、ベッドメリーも赤ちゃんが気になって起きてしまう原因になりますので、寝床には不向きです。

かたいマットレスがベター

柔らかいマットレスより固めのマットレスを用意しましょう。

これはうつ伏せになったときにマットレスに顔が埋もれて息ができなくなることを防ぐため。またベッドの柵とマットレスの間にハマってしまう事も防げます。

添い寝に注意(特に添い乳)

なお、大人と添い寝する場合にも注意してください。

大人が寝返ったときに赤ちゃんを押しつぶしてしまうリスクがあります。

特に夜泣き等で疲れ果てて添い乳をしている最中にママが寝てしまったがために起きた死亡事故もあります。ママ・パパの健康は赤ちゃんを守るためにも必要なので、寝不足にならないよう寝かしつけや夜泣きに悩んでいる時はねんねのプロの力を頼ってください。

WEB特集 “添い乳”で赤ちゃん窒息死相次ぐ 授乳に注意 | NHKニュース

これらの安全な寝床のためのガイドラインは主に0歳児を対象としています。

そんなに言われてもできない人は

全部の条件を満たすのは意外と難しい

これらの条件を全てクリアしなければいけないというと、なかなか難しい、我が家では条件をクリア出来ないというママ・パパもいるかと思います。

残念ながら日本の家は赤ちゃんの睡眠を考えて設計されているとは言い難い。
ベビーベッドを置く場所にも一苦労です。

ねんねのプロが解決方法を提案してくれます

どうしたらいいか困ったらねんねのプロに相談してください。これまでにたくさんの家庭でねんね改善してきたプロですので、それぞれの家庭にあったアドバイスをしてくれます。

記事だけ読んで上手くいかずさらに悩んでは本末転倒です。

ネントレは「家族がハッピーになるため」に行うものです。ネントレや寝かしつけ、夜泣きの改善はいつからでも始められます。自分ひとりで悩まずに、まずはプロに相談してみましょう。

【参考文献】
*1綾木雅彦、森田健、坪田一男「住宅照明中のブルーライトが体内時計と睡眠覚醒に与える影響」(『住総研研究論文集』42巻、2016年)
*1穂積桜『朝方 夜型 クロノタイプ別 睡眠レッスン』(セブンプラス新書、2019年)
*2Sleep Foundation (アメリカ国立睡眠財団)「The Best Temperature for Sleep
*3清水悦子『マンガでよくわかる 赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』(かんき出版、2018年)
*4森田麻里子『家族そろってぐっすり眠れる医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社、2020年)
*5愛波文『ママと赤ちゃんのぐっすり本 「夜泣き・寝かしつけ・早朝起き」解決ガイド』(講談社、2018年)


この記事を書いた人/ねんねbase
みんなが笑顔で子育てできる世の中に。夜泣きや寝かしつけで悩むママ・パパへ