子どもが成長するのに睡眠が大事だということはみんな感じているし理解されていると思います。
寝ている間に分泌される成長ホルモンが子どもの成長に大きな役割をはたしていて、それは大人も例外ではありません。では具体的には何をしたらこの成長ホルモンを効率よく子どもの成長に活用できるのでしょうか?
早く寝かせればいい、たくさん寝かせればいい、大体あっていますがそれでは不十分です。
もう少し深く知ることで子ども才能をもっと伸ばす土台を作ることができます。乳幼児期から睡眠を整える事でその後の発達を阻害することなく、すくすくと成長できる環境を整えてあげましょう。
新生児は1日16時間以上の睡眠が必要
現代の子どもは睡眠不足
現代の子どもが睡眠不足になりがちだということをご存知でしょうか?
これは親世代の私たちが現代化とともに夜型の生活にシフトしてきたことと深い関係があります。夜でも電気がついて明るい部屋で、刺激的なTVがあり、スマホでも動画やゲームが楽しめる。そんな大人の生活に引っ張られて子どもの生活もだんだんと夜型になってきているそうです。
夜寝る時間が遅くなったせいで子どもの睡眠時間は削られ、そして睡眠不足となります。睡眠不足になると情緒不安定になってイライラしたり、疲れが取れなかったりするのは子どもも大人も一緒です。
睡眠は成長に不可欠
そして成長に必要なホルモンの分泌も少なくなります。
将来子どもがスポーツ選手になりたいと思っても、筋肉や身体の発達が不十分で諦めるしかなかったら?
将来子どもが弁護士や医者になりたいと思っても勉強が身につかない事があったら?
親が気をつけて、乳幼児期に睡眠習慣を整えてあげるだけで、その後の睡眠習慣は変わってきます。アメリカ国立睡眠財団が推奨している新生児に必要な睡眠時間は14~17時間です。カリフォルニア大学で睡眠について研究しているポリー・ムーア博士は16時間以上必要だと提唱しています。
子どもが成長するにつれて必要な睡眠時間は減っていき、1歳までの子どもで12~15時間の睡眠が推奨されていますが、みなさんのお子様はこれだけの睡眠時間を確保できていますか?
睡眠習慣を小さい頃から整える重要性
3歳頃から成長ホルモンの影響が顕著になる
ところで睡眠習慣を整えるのに最適な時期というのはいつでしょうか?
成長ホルモンを軸に考えると、実は新生児にとって脳や身体の発達に影響が大きいのは成長ホルモンよりも母乳や離乳食から得られる栄養だと考えられています。成長ホルモンが出ないとか大事ではないということではなく、比較すると栄養の要素の方が発達に与える影響が大きいという意味です。
3~4歳ごろになると成長ホルモンの影響が顕著に見られるようになるため、3歳までには正しい睡眠習慣を整えてあげておきたいところです。
要注意!人間の体内時計は2歳までに形成される
では3歳になる前、2歳ごろから睡眠について考えればいいかというと、そこには大きな落とし穴があります。実は人間の体内時計は2歳までに形成されると言われており、この体内時計は生涯その人の健康に影響するため、2歳から睡眠を整えようとしてもなかなか上手くいかないことが多々あります。
特に乳児期についた寝るときの癖を矯正することは容易ではありません。
もし3歳を過ぎて、さらには小学校に入学するときになって、登校時間に合わせるようにそれまでの起床時間より早く起きようとすると、早くなった時間分の睡眠時間が削られることになり、睡眠不足を誘発し頭痛、腹痛、めまい、吐き気といった自律神経の不調をきたすようになることもあります。
少し大変なようですが、乳児期に子どもの睡眠習慣を整えてあげることがとても重要になります。
睡眠不足がもたらす子どもへの悪影響
睡眠不足になった子どもにはどのような事が起こるでしょうか?
1.学習中の集中力が下がり、記憶も定着しづらくなる
日中に学習した記憶の定着は寝ている間に行われることが、様々な研究で分かっています。
乳児や幼児の場合はほとんどがこれまで経験したことのない事であふれており、些細な事がとても魅力的で脳にポジティブな刺激を与えていることでしょう。日々新しいことに触れているので脳のキャパシティはすぐに一杯になるので、より睡眠の重要性は増しています。
たくさん寝てもらうことで、毎日たくさんの体験や刺激を定着させてもらいたいですね。
2.イライラして怒りっぽくなり、物や人にあたる
寝不足でイライラするのは大人も子どもも一緒です。
もし子どもが日中どうも不機嫌でイライラしている、怒りっぽい感じが見受けられるなら一度睡眠不足を疑ってみてください。睡眠に深くかかわるホルモンに「セロトニン」があります。起床後日光を浴びるとセロトニンが増加しますが、このセロトニンが感情のコントロールにも重要な役割を果たします。
朝起きてたっぷりの日光を浴びることでセロトニンを十分に引き出してイライラしたり感情の起伏がなく穏やかな一日を過ごせるようになります。朝日光を浴びるとその14~15時間後にメラトニンという眠気を誘うホルモンが分泌されるようになります。
つまり朝起きて日光を浴びることは夜寝付きやすい状態にする意味でも非常に重要な行動になるので、是非子どもには朝起きたらたっぷりの日光を浴びることを習慣としてあげるといいでしょう。
3.朝起きられなくなり不登校の原因になる
文部科学省が2014年に発表した「不登校に関する実態調査」によると不登校になった中学生の3人に1人が不登校のきっかけが「睡眠など生活リズムの乱れ」だったとあります。
睡眠が乱れて遅刻が続くと学校へ行くのが気まずくなり次第に行けなくなる。睡眠不足が原因で授業に集中できず、成績が下がったことを父親に叱責されて不登校になったという例もあります。
もし睡眠不足を解消して不登校がなくなるのであれば、ぜひ気を配っておきたいところです。
4.無気力になりネガティブな思考になる
文部科学省が2014年に行った「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果」では「自分のことが好きだ」という子どもの割合は9時前に寝る子と11時を過ぎて寝る子では2倍以上の差が出ています。(小学5~6年生の場合、午後9時前23.2%、午後10時前18.6%、午後11時前15.2%、午前0時前9.8%、午前1時前10.2%)
小学校に就学すると起床時間は登校時間で決まるため就寝時間が遅くなるほど睡眠時間は短くなります。
5.免疫力が低下し病気にかかりやすくなる
睡眠と免疫には深い関係があります。
免疫細胞の機能を増強したり、古い免疫細胞を作り替えたりするのに必要なのが「成長ホルモン」だからです。
成長ホルモンを分泌させるのに睡眠が重要だということはすでに説明した通りで子どもがよく風邪をひくというなら栄養のあるものを食べさせたりバランスに気を付けるだけでなく、質の良い睡眠と十分な睡眠時間を心がけてください。
6.新陳代謝が上手くいかず太りやすい体質になる
睡眠と食欲の関係をご存知でしょうか?
食欲をつかさどるのもホルモンなのですが、食欲を抑制するホルモンがレプチン、食欲を増進させるのがグレリンです。睡眠が不足するとレプチンの分泌量が減りグレリンの分泌量が増えるため食欲が高まるのです。
また富山大学の研究で3歳児の時に11時間以上寝ていた子どもと比較すると、9時間台だった子どもの肥満リスクは1.24倍、9時間未満の子どもは1.59倍と睡眠時間が短いほど肥満のリスクが高まる結果が発表されました。
もし子どもがちょっと肥満気味かな?と思ったら食事や運動以外にも睡眠についても考えてみましょう。
睡眠不足の悪影響は大人も同じ
これらは大人にも当てはまることなので、子育て中のママ・パパでイライラしてパートナーに当たり散らしたり情緒不安定になっているなら寝不足を疑ってみてください。
子育ての大変さは、ねんね以外のところに起因するところも大きいとは思いますが、子どもの夜泣きや寝かしつけが上手いかないことが原因の寝不足なら、ねんねのプロ、赤ちゃんの睡眠コンサルタントに相談することで子どもの事だけでなくご自身の体調も良くなると思います。
人生の土台は睡眠
右肩上がりの教育費を無駄にしない
親であれば子どもの幸せを願って将来のことを心配したり、最高の人生を送ってほしいと様々な経験をさせてあげたくなると思います。
実際子どもの1人当たりの教育費は右肩上がりで1970年から比べると約16倍に上がっています。これは紛れもなく子どもの将来を思って親が選択肢を広げたい、大人になってから困らない能力を身に着けてほしいと考えているからだと思います。
でもそうやってたくさんのお金をかけて子どもに教育を施してもそれが睡眠不足によって身につかなければとてもやりきれないですよね。
学びを定着させるための睡眠
寝なければ人間は生きていけません。
睡眠は身体を成長させ、学びを定着させ自分自身をアップデートするためにも必要な行為です。もしその睡眠が赤ちゃんのうちから整っていればその後の人生はどれほどのメリットがあるでしょうか?
さらに子どもが寝ている間に親も睡眠時間を確保したりできればイライラしたりせず、よりポジティブに子育てを楽しめるはずです。
ネントレは一生もののプレゼント
どんな知育玩具を赤ちゃんにプレゼントするより、英語や音楽などの習い事をさせるより先にまずは良質な睡眠をプレゼントしてあげてはいかがでしょうか?
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【参考文献】
金光容徳『元気で賢い子を育てたいなら子供がぐっすり眠れる部屋を作りなさい』(株式会社アスコム、2019年)
三池輝久『赤ちゃんと体内時計 胎児期から始まる生活習慣病』(集英社新書、2021年)
ポリー・ムーア『賢い子は1歳までの眠りで決まる』(図書印刷、2017年)
アメリカ小児学会、2016 AAP endorses new recommendations on sleep times
この記事を書いた人/ねんねbase
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