新生児の頃は夜中も授乳しなければいけないので、ママ・パパもお世話に忙しくてなかなか睡眠時間を取ることができないけど、「赤ちゃんが大きくなればもっとまとまって寝てくれるから少し楽になるよ」
そんなことを先輩ママ・パパや助産師、保健師さんから話を聞いていると思います。
「そうか、今を乗り切れば楽になるんだ」と、思ってたらもっと寝なくなった!全然まとまって寝てくれない!なんて困惑していませんか?
そんな生後4ヶ月頃の赤ちゃんの寝かしつけや、夜泣きの対応にも実はコツがあります!
なぜか寝ない生後4ヶ月の赤ちゃん
赤ちゃんの成長は早い
赤ちゃんの成長は非常に早く、いつもママ・パパは驚かされますよね。
そして赤ちゃんの成長と共に睡眠パターンの変化も非常に早いのですが、その事を知らないとママ・パパは寝かしつけや夜泣きに戸惑うかもしれません。
新生児の睡眠サイクルは非常に短いのですが、数か月の間に少しずつ長いサイクルになり、より多くの睡眠を夜の間に取るように変化していきます。
成長の証、睡眠退行
こうして、より安定した睡眠パターンへと変化していきますが、時折逆行するような変化があることがあります。
「せっかく安定してきたのに」とがっかりするかもしれませんが、これは睡眠退行と呼ばれ、子どもの発達においてしばしば見られる現象です。そして睡眠退行は子どもが健やかに成長している証でもあります。
最初の睡眠退行が見られるのは生後4ヶ月頃
睡眠退行のタイミングが見られるのは赤ちゃん毎に異なりますが、最初は生後4ヶ月頃でよく見られます。
生後4ヶ月頃の睡眠退行の原因、兆候、および対処方法を知ることが、子どもの健康的な睡眠習慣を発達させるために役立つので、ここでしっかり覚えておきましょう。
乳児の睡眠が変わる生後4ヶ月頃
だんだん長く寝るようになる生後3ヶ月頃
生後2ヵ月頃までの赤ちゃんは、一日あたり14〜17時間の睡眠が必要とされています*1。一回の睡眠は1~3時間と長くなく*2、基本的には寝たり起きたりを繰り返します。これが生後3ヶ月くらいになると昼間はより短くなり、夜間は長く寝られるようになってきます。
複数回の昼寝は依然としてありますが、夜間の睡眠時間が長くなり、一日の合計の睡眠時間は少なくなる傾向が見られます(1日あたり14~15時間くらい)
脳が発達し環境に適応しようとしている
ただし睡眠の統合プロセスは非常に多様です。
この月齢では、脳と身体は急速に発達しています*3。そしてこの脳と神経系の発達こそが、睡眠を不安定にする可能性があるのです*4。
赤ちゃんは、日光、食事、および日常のスケジュールなどへの適応を含め、環境に適応する(反応する)ことを学んでいます。
生後4ヶ月頃の睡眠退行の根本的な原因はわからない?
みんなが経験するわけではない睡眠退行
全ての赤ちゃんが4ヶ月ごろに睡眠退行が見られる訳ではありません*5。
調査研究によると、乳児の睡眠にはかなりの個人差があります。一部の赤ちゃんは睡眠退行が一切見られないこともありますし、他の赤ちゃんは別の月齢(早かったり遅かったり)で睡眠退行になる場合があります。
睡眠退行の根本原因はまだ研究中
生後4ヶ月頃の赤ちゃんは新生児の頃の睡眠パターンから大きな移行の真っ只中にあるため、この睡眠パターンの移行が睡眠退行の原因のひとつだと考えられています。
脳の発達に伴う睡眠の乱れは、環境、身体の成長、および睡眠習慣によってさらに影響を受ける可能性があります。
ですが、睡眠の根底にある生物学については不明な点がたくさんあるため、小児の睡眠の専門家でさえ、生後4ヶ月頃の睡眠退行の根本原因はまだ特定できていません。
睡眠退行がおきるとどうなる?
ママ・パパはお手上げ?!
月齢4ヶ月頃の一部の赤ちゃんに見られる睡眠退行の様子は以下の通りです。
・夜間の頻回起き
・お昼寝の睡眠時間が短くなる
・寝つくまでに時間がかかる、寝つきが悪い
・目覚めたときの泣き声が大きく、より騒ぐ
・1日の合計睡眠時間が短くなる
これもより良い睡眠のためのプロセス
こんなに大変な睡眠退行がどのくらい続くのか、ママ・パパが不安に思うのは当然です。
ほとんどの場合数日から数週間ほど続きますが、睡眠退行は乳児にとって、より良い睡眠習慣の育成に役立っていると考えられています。なのでここでは焦らず、つらいかもしれませんが、赤ちゃんが成長している過程を応援してあげましょう。
睡眠退行時の対応策は?
安全対策と健康的な睡眠習慣を継続しましょう
睡眠退行に対する”これだ”というシンプルな対応策はありません。代わりにママ・パパは赤ちゃんのために健康的な睡眠習慣を継続してあげることが重要です。
以下に睡眠退行中に行えるヒントを記載しました*6。これは4ヶ月の睡眠退行中だけでなく、今後成長するにあたり、より健康的な睡眠習慣を作ってあげることにも役立ちますので参考にしてみてください。
やっぱり安全第一でSIDS対策を
乳幼児の安全な睡眠のために睡眠環境を見直しましょう。
乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクがあり、夜泣きの対応で睡眠不足のママ・パパは判断力が鈍ることがあります。万が一を排除しましょう*7。
ベッドは寝る場所だと教えてあげましょう
赤ちゃんが眠りにつく前にベッドや寝床に移し、ベッドや寝床で眠りにつくように習慣づけましょう。
どこか別の場所(抱っこで寝かせたり、リビングで眠らせたり)で眠りに落ちてから移動させるのではなく、赤ちゃんにベッドで眠りにつくことを覚えさせることで、赤ちゃんは自分のベッドを眠る場所だと認識します。
これは赤ちゃんが自分でベッドで眠りにつくことに慣れ、夜に目が覚めても自分で自分を落ち着けることを学び、再び眠りにつくことを促します。(背中スイッチ対策にもなります)
赤ちゃんの眠いサインを見逃さない
赤ちゃんの眠気の兆候を見つけましょう。
赤ちゃんは目をこすったり、少し静かになったり、ちょっとした変化ですが眠くなっているサインを出しています。
このサインを見逃さずにベッドに移動して寝かしつけを行えるようになり、就寝時のルーティンを開始するための手掛かりとなります。
日光はねんねの味方です
お昼は赤ちゃんが日光を十分に浴びられるようにしてください。
太陽の光を浴びることは、日中起きているときに赤ちゃんが活発になり、夜により多く眠るように体内時計を調整するのに役立ちます。
寝床におもちゃは不要
寝るための適切な環境を作りましょう。
安全とは別の観点で寝床を見直します。
特におもちゃやメリー、ぬいぐるみなどをベッドや寝床周辺に置いていると赤ちゃんはそちらに気を取られて眠りから覚醒することが多くなります。
ねんねルーティンもしっかり継続
他にも、就寝前のねんねルーティンを作って継続することで乳児の睡眠を促進することができます。
まだ体内時計が発達しておらず、時計も時間もわからない赤ちゃんにとって、「これから寝る時間だ」というきっかけを与えることになり、赤ちゃんがスムーズに眠り、その後も眠り続けるのを補助することがわかっています*8。
- 夜の就寝前に授乳をしてからルーティンに移りましょう。
再び授乳が必要になるまでの時間が長くなり、空腹で起きる可能性を少なくできます。 - 抱きしめたりスキンシップをとることで赤ちゃんをリラックスさせてあげましょう。
夜中に目を覚ましても慌てないで見守ること
赤ちゃんが夜に目覚めてしまったときは以下を意識してみましょう。
- 起きてもすぐに抱っこしたり声を掛けたりせず、そのまま再度眠りにつくか5分ほど見守りましょう。
- 夜間に授乳が必要な時は、部屋は出来る限り暗く保ち淡々と授乳しましょう。遊んだり、刺激を与えないように注意しましょう。
すぐに抱っこするのはグッと我慢してください。
ベッドに置いたままの状態で、赤ちゃんが落ち着くまで優しい落ち着いた声で声掛けをしたり、頭やおなかをなでたりトントンしたりして赤ちゃんを落ち着かせてみましょう。
うまく落ち着かせることができたら、静かに離れてみてください。
その後、赤ちゃんは自らスッと再入眠できることもありますよ。
生後4ヶ月頃の睡眠退行について医師と話し合うべきか?
赤ちゃんが眠れずに苦しんでいたり、夜間にあまりにも頻繁に目が覚める場合は、医師に相談することをお勧めします*9。特に以下の場合は注意が必要です。
- 成長曲線から逸脱して体重が増えない
- 授乳回数の減少
- 排泄状況の変化、特に減少
ただ、乳児の睡眠に関しては専門としている医師がいますが「寝かしつけも得意だよ」という方は残念ながら多くありません。
赤ちゃんの発育(体重増加)に問題がないようであれば、ねんねのプロ(乳幼児睡眠コンサルタント)はあなたをサポートする最高の味方です。
初回30分ほどの相談であれば無料のプロも多いので一度相談してみるのもいいでしょう。
ママ・パパ自身のケアも大事です
悪い事をしてる訳でも、間違っているわけでもないんです
生後4ヶ月頃の赤ちゃんが夜間頻繁に起きることや、睡眠退行が実は一般的であるということを正しく知ってください。
「何かやってはいけないことをしているんではないか」「発育、発達に問題があるのではないか」など様々な心配をするのは当然ですが、睡眠退行を知ることでママ・パパの不安を軽減し、自分自身を落ち着かせることが大事です。
知ることで不安と期待をコントロールできる
ママ・パパは我が子の成長に色んな期待と不安を持っているはずです。
その自分の期待を適切に設定し、赤ちゃんが安定した睡眠パターンを発達させるには時間がかかることを覚えておく必要があります。
1歳になっても夜通し眠れない赤ちゃんは少なくありません*10。そして赤ちゃんの睡眠の事を教えてくれる人は日本にはあまりいません。
自らインターネットやSNSで情報を探しているだけでも十分赤ちゃんの事を考えている立派な親だと思います。ですからあなたの赤ちゃんが夜に目覚めても自分を責めないでください。
「わからない」「不安」「心配」はプロに相談しましょう
親が悩んでいることも、睡眠不足でイライラしている事も赤ちゃんは何となく感じているはずです。
ママ・パパのストレスを軽減し、セルフケアをするような気持ちでねんねのプロに相談するのもいいと思います。
これから正しく赤ちゃんの睡眠について学び、より良い睡眠を与えるために一度ねんねのプロの話を聞いてみることが一番のセルフケアだと考えます。
ですが、誰かに相談する勇気が出ない、相談する時間がない、そんな方には、ねんねbaseの「動画で学ぶ寝かしつけ『baseメソッド』」がおすすめ!
すきま時間で自分の好きなように視聴するだけで、ねんねの基礎知識が学べます。特に4~14ヶ月編では、4ヶ月の睡眠退行の話やついてしまった寝かしつけの癖(抱っこ寝や添い乳など)からの卒業方法も細かく解説されています。
【参考文献】
- Hirshkowitz, M., Whiton, K., Albert, S. M., Alessi, C., Bruni, O., DonCarlos, L., Hazen, N., Herman, J., Katz, E. S., Kheirandish-Gozal, L., Neubauer, D. N., O’Donnell, A. E., Ohayon, M., Peever, J., Rawding, R., Sachdeva, R. C., Setters, B., Vitiello, M. V., Ware, J. C., & Adams Hillard, P. J. (2015). National Sleep Foundation’s sleep time duration recommendations: methodology and results summary. Sleep health, 1(1), 40–43.
- A.D.A.M. Medical Encyclopedia. (2018, October 11). Bedtime habits for infants and children. Retrieved September 1, 2020
- Camerota, M., Tully, K. P., Grimes, M., Gueron-Sela, N., & Propper, C. B. (2018). Assessment of infant sleep: how well do multiple methods compare?. Sleep, 41(10), zsy146.
- Blumberg, M. S., Gall, A. J., & Todd, W. D. (2014). The development of sleep-wake rhythms and the search for elemental circuits in the infant brain. Behavioral neuroscience, 128(3), 250–263.
- Mindell, J. A., Leichman, E. S., Composto, J., Lee, C., Bhullar, B., & Walters, R. M. (2016). Development of infant and toddler sleep patterns: real-world data from a mobile application. Journal of sleep research, 25(5), 508–516.
- American Academy of Pediatrics (AAP). (2018, July 16). Getting Your Baby to Sleep. Retrieved September 1, 2020
- Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development (NICHD). (n.d.). Ways to Reduce The Risk Of SIDS And Other Sleep-Related Causes Of Infant Death. Retrieved September 1, 2020
- Mindell, J. A., Li, A. M., Sadeh, A., Kwon, R., & Goh, D. Y. (2015). Bedtime routines for young children: a dose-dependent association with sleep outcomes. Sleep, 38(5), 717–722.
- American Academy of Pediatrics (AAP). (2013, September 15). Sleeping Through the Night. Retrieved September 1, 2020
- Pennestri, M. H., Laganière, C., Bouvette-Turcot, A. A., Pokhvisneva, I., Steiner, M., Meaney, M. J., Gaudreau, H., & Mavan Research Team (2018). Uninterrupted Infant Sleep, Development, and Maternal Mood. Pediatrics, 142(6), e20174330.
この記事を書いた人/ねんねbase
みんなが笑顔で子育てできる世の中に。夜泣きや寝かしつけで悩むママ・パパへ